全曲解説

1.たまぐすくに吹く風


この曲の出だしのコード(和音)は20年以上前に出会ったコード。

清らかで、神聖で、心地よくて、やわらかくて。

僕のたまぐすくのイメージにぴったりだった。

そのコードを展開させてできた曲。

今日もたまぐすくにはこんな風が吹いている。



2.エイサー盆踊りの夕べ


盆踊りは盆踊り唄だけでなく、なんでも盛り込んじゃえばいいのに。

ずっとそう考えていた僕は初めて奥武島のエイサー盆踊りの夕べを見たときに小躍りした。

いや、その時はまだ松葉杖を使っていたから小躍りできなかったけど(笑)

とにかく嬉しくてしかたなかった。


観音堂前のあのちょうどいい広さも良い。

この唄が生まれてから続々とたまぐすくの唄ができるようになった。


デュエットしている天音(あまね)さんは僕が見つけた才能のあるアーティスト。

いつかライブなどで一緒に歌える日を楽しみにしていたけど、人前で歌うことはやめたということで残念。

でもこれだけの歌が歌えるのだから何らかのかたちで音楽をやっていくのだろうと思う。

天音さん=たまぐすくにご縁のある方。

これ以外の情報は非公開のシークレットなシンガーです。



3.ユッカヌヒー


奥武島のハーリーが行われるユッカヌヒーは今でもこどもたちが楽しみにしている日。

奥武橋のあたりからイマイユ市場のほうまで露店が並んでこどもたちは何を買おうかと興奮している。


ちなみに僕はまだ、ちんびん、ぽーぽーを食べたことがない。

食べてみたいなぁ。

来年のユッカヌヒーあたりに誰かお願いします。


この曲には百名小、玉城小のこどもたちが参加してくれて楽しい雰囲気を演出してくれました。



4.カラウカハ


カラウカハという語感にずっと惹かれていた。

その前を毎日車で通るのだけど、ある時車から降りてその場所に立ったときにこの唄が生まれた。

もともとはウクレレの弾き語りでハワイアンっぽい唄だったけどアレンジしていくうちにこうなった。

僕がこんな大人な唄を唄う日が来るなんて!


*このCDをリリースしたあとにカラウカハのハワイ語の意味を知りました。

カラウが植物、カハーは生命だそうです。

カラウカハってハワイ語だよね?って思ってたけどやっぱりそうなのかも。


カラウカハは稲作発祥伝説の拝所です。



5.夏の桟橋


この曲はちょっと走ってる。前のめりなんです。

で、何回か録音していたんで走ってないテイクを選んで聴いたら、この曲の良さが全然出てなくて。

それで元のテイクに戻しました。

奥武島の桟橋をこどもたちが駆けていって次々と海に飛び込むところをイメージしてつくりました。



6.受水走水


うきんじゅはいんじゅ。

この唄もまたその語感の素晴らしさに惚れ惚れしてつくった唄です。

なんてリズミカルで音楽的な名前なんだろう。

実は最初は説明的な部分もあったのですが、もう短いほうが楽しいかなということで。

その別の部分は他の曲になって17曲目に入っています。



7.花咲く島


僕と「たまぐすく」の関係が唄になったものです。


「ここで生まれ変わる」


7、8年前にたまぐすくでそんなインスピレーションを受け取り、どういう意味なんだろう?と思っていたけど、住んだらほんとにどんどん自分が変わって、知らない自分が出てきてこんな曲を自分がつくるんだ?とかこんな自分もありなんだ?ということがたくさん起こりました。

そしてどんどん健康になり、3年前から松葉杖も要らなくなりました。


大切なひとたちに向けた言葉も含まれています。



8.奥武島にいこう


ある時、知念から玉城へ向かう車の中で石田長生さんの「Boninの島」を聴いていました。

小笠原を歌った歌で僕の大好きな歌です。

自分の好きな島を歌うっていいな〜と思っていたらすぐにこの「奥武島にいこう」が生まれました。

翌日には「エイサー盆踊りの夕べ」も生まれ、ここからそれまでにないほど多作な、自分的な「快進撃」が始まりました。笑



9.たまぐすくアフタヌーン


友だちの持っている「一五一会 奏生」の音色があまりに素晴らしいので


「1週間くらい貸して」


と借りたのです。

ほんとに素晴らしい音色ですぐにこの短い曲ができました。

短いけど、他に足りないものは何もないと思います。

録音はビデオレコーダーで撮ったので動画も残っています。

その楽器は結局1か月くらい経ってから返しました。


いつか僕も欲しいなぁ。



10.奥武島の猫


前作の中に「てんぷらぷらぷら」という曲が入ってて「奥武島の猫も大好きさ」と歌ったら、「あの猫がね〜」と現実的な話をされてしまったことがあります。笑

この歌も現実の猫の歌じゃないですよ。

ここまで言うのも野暮だけど、誤解する方がいるので。



11.こげこげてんぷら


百名小に朝の読み聞かせに行っていた頃、絵本を読んだ後に短い歌を歌ってました。

「てんぷらぷらぷら」を歌うと予想以上にこどもたちにウケて毎週リクエストされるように。


そんなある日、2年生の女の子が「こげこげてんぷら歌って!」と言ったのです。


こげこげてんぷら!?


その発想とわけわからなさに僕は感動しつつ、即興で唄いました。

それをまとめ直してみたのがこの曲です。

こういうこどもたちとのやりとりが本当に楽しかったなぁ。


こげこげてんぷら!という不思議なリクエストに感謝!!



12.つばさがあるのに飛ばないつもり?


このタイトルの言葉はたぶん15年くらい前に頭に浮かんだものです。

できるのにやらないの?

そう僕が問われたような気がしました。


そしてまたまた百名小での読み聞かせの朝。

その日は僕が大好きになった「とべバッタ」を初めて読む日だったんです。

時間は朝の7時30分。

もうすこしで家を出る時間。


その時突然頭の中に唄が流れました。


つばさがあるのに飛ばないつもり?


あれ?これは?


僕はすぐにiPhoneのレコーダーを回して歌ってみました。

時間にして40秒。

そのたった40秒で短い40秒の歌が出来上がってしまったんです!

こんなことは初めて。

その後、学校に行き「とべバッタ」を読み、この歌を歌いました。

奇跡の一日でした。


後日2番の歌詞も生まれ、今回の収録となりました。



13.垣花樋川


たまぐすくの歌がどんどん生まれるようになった2016年の10月ころ。

その頃には僕もいろいろなたまぐすくの歌をつくってみよう、という気になっていました。

それなら垣花樋川も、と考えたらすぐに浮かんできたのでいつものようにiPhoneに録音しました。


最初は歌詞もコード進行もベタ過ぎるのでボツにしようかと思ったんです。

でもせっかく生まれてきたのだからと気を取り直すも、後が続かない。

そこで僕はギターを持って垣花樋川に行き、歌ってみるとするするっと残りの歌が出てきました。


今では自分でも大好きな歌になりボツにしないで良かったなと思っています。

アレンジも自分でこういうアレンジをするとは思わなかったというものになっています。



14.ヤハラヅカサ


この和音は25年くらい前に僕が”発見した”和音です。

たった6本しかないギターの弦。

フレットはたくさんあるけど指が届く範囲は限られている。

そんな中で新しい響きを見つけるというのはとてもロマンチックなことだなぁと思います。


メロディーは7、8年前によくたまぐすくに来ていた時に弾いていたメロディーが元になっています。

そんな和音とメロディーですが、ヤハラヅカサのイメージにぴったりなんじゃないかと思い、ギターを持ってヤハラヅカサに出かけていくとこれもすんなりと1曲にまとまったものがするするっと出てきたのです。


こんなことからこのCDの曲たちは僕とたまぐすくという場所との共同制作だと感じています。

つくったというより、受け取ったという感じなのです。



15.ミントゥン


ミントゥングスクのことはもちろん知っていたのですが行ったことはなく、場所もなんとなくこの辺というくらいしかわからなかったのです。

そんなある日、ある方から良い場所だから是非行ってみてくださいと言われ、行ってみると、僕がよく通る道沿いにあってびっくり。


その時僕はウクレレを持っていたのですが、この短い


ミントゥン ミントゥン♬


というメロディーがすぐに頭の中で流れ始め、ぼくは「ありがとう」と受け取りました。



16.オキナワ わたしの島


前作のタイトル曲。

ちょっとスロー過ぎたかなと思い、テンポを上げて再録しました。

ここに生まれ育った人も、ここを離れてしまった人も、ここを訪れた人にとっても、ここが故郷だよね、と唄う唄です。

「南風今日も流れてる」というのは奥武島や海を望む高台に向かって吹いている風のイメージです。




17.たまぐすくぐるぐる


この唄の通りのコースを僕はほぼ毎日車で走っています。


どうして?


それはここが大好きだから。

嬉しくてしかたないから。

そしてぐるぐる回っているうちにこんなCDが出来てしまったのです。


楽園はほんとうはそれぞれの心の中にあるんだと思います。

でも心の中に楽園を持っていたら、このたまぐすくという場所はほんとうに楽園なんです。


自分はこんなに素晴らしい場所に住んでるぞーー!!

という喜びの声。


それがこの「たまぐすくSong Book」です。

あなたも心の中に楽園を見つけられますように。



18.ゆくいみそーれ


この曲だけは20年くらい前に出来上がっていました。

沖縄を旅する時、僕はたいてい裸のままのウクレレを抱えていました。

ケースに入れるとなんだかわからないけど、裸で持っていると


「それなんですか?」


「ウクレレいいですね〜」


とすぐにコミュニケーションが生まれるからです。

ビーチで。お店で。飛行機の中で。


1本のウクレレによって始まる会話。

すぐにポロロンと弾くこともできる。


そんな旅先の沖縄で生まれた曲です。

たまぐすくを訪れた時に出来た曲だったかもしれないね。



19.コバンザメのあたまはくつの底


ある時、友だちがSNSにコバンザメの写真を載せていて


「うわ!すごい生き物だな。靴の底みたいだ!」


と驚いて出来た唄。

実は最初は頭をお腹と間違えていて

「コバンザメのお腹はくつの底」と唄っていた。笑


CD完成前に気づいてよかった〜。

曲が出来てすぐに百名のある場所で唄って、そのときの雰囲気も良い感じで録れています。



20.月の道


ある朝目覚めると頭の中に唄が流れてるんです。

こんな話ばかりだけど、こういうことはここ1年くらいの話で音楽を受け取る回路みたいなものがつながったのかな。


こういった変化も僕が感じた「ここで生まれ変わる」ということなんだと思う。


で、僕はすぐに起きてリビングに行き、またiPhoneのレコーダーを回しながら唄い始めると、出てくる、出てくる。

ついに9分近い唄になってしまったけど、そこまでの作詞作曲時間は2時間くらい。

一気に出来た。


最初はあるイメージがあって唄いながらつくっていたけど後から聞き返すといろんな捉え方、聞き方ができる歌詞だなと思った。

いろいろな状況の人が自分に重ね合わせて聞いてくれるかもしれないと。


ヤハラヅカサは僕の大好きな場所です。

そしてそこで見る満月や満月が海に映る月の道も。


最後に出来たこの曲ですが、この曲を入れられてほんとに良かったなと思います。

この曲のみ、配信でもリリースしています。